SGT Round8 MOTEGI GT 300Km / Syntium LMcorsa GR Supra GT #60号車
SGT Round8 MOTEGI GT 300Km / Syntium LMcorsa GR Supra GT #60号車
ドライバー
吉本 大樹 選手
河野 駿佑 選手
今回のレースについて
4月の第3週に岡山国際サーキットで開幕したAUTOBACS SUPER GT 2023 SERIESは、約7ヶ月の間に全国各地5ヶ所の国際サーキットを転戦し、モビリティリゾートもてぎで最終戦を迎える。
LMcorsaは2021年にマシンをGR Supra GTにスイッチし、今季が3シーズン目。初年度は年間2勝を挙げて、ポイントランキングは過去最高の3位を獲得した。だが、2年目の2022年はBoP(性能調整)の影響もあり本来のパフォーマンスを発揮できず、今季は雪辱を果たすシーズンと考えていた。
それでも2023年シーズンは、開幕戦の岡山国際サーキットや第3戦の鈴鹿サーキット、第6戦のスポーツランドSUGOの決勝レースが途中で中断したり、中止になるなど荒れた展開となった。これらのレースではピット戦略などによって大きく順位が変わることがあり、LMcorsaに有利に働かないことも多かった。大きなミスはないものの、7戦を終えてポイントを獲得できたのは3戦のみで、今季も苦しいレースを強いられた。
有終の美を飾りたい最終戦の「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」は、11月4日(土)に公式練習と予選、5日(日)に決勝レースが実施される。
公式練習
4日は、9時25分からの公式練習が走り出しとなった。Syntium LMcorsa GR Supra GTには吉本大樹選手が乗り込み、まずは持ち込みのセットアップを確かめると、すぐにタイヤの確認に移る。コースコンディションとセットアップは合っているようで、計測4周目には1分47秒590の自己ベストタイムをマーク。このタイムを記録した時点では、モニター上で2番手となっていた。
その後は、セットアップの微調整や決勝レースを想定したメニュー実施。公式練習の開始から50分が経過したところで、河野駿佑選手にバトンタッチする。このときにマシンの不具合が起きたというが、河野選手は与えられたテストメニューを消化していき、2人のドライバーが計30周を走行して、公式練習を終えた。
結果として、吉本選手が4周目にマークしたタイムがベストタイムで、GT300クラスの25台中8番手となった。
予選:12位
公式練習後には20分間のFCY(フルコースイエロー)テストが実施され、公式練習の後半に発生したマシンの不具合をチェック。予選までには修復を終えた。
GT300クラスの予選Q1は今回も25台が2組にわけられ、上位8台ずつが予選Q2へ進出してポールポジションを競うことになった。A組に振り分けられたLMcorsaは、河野選手を予選Q1のドライバーに指名。A組からは13台が予選Q1に出走し、8台が予選Q2へ、5台が予選Q1で脱落することになる。
河野選手は予選開始とともにコースインし、ウォームアップを始める。アウトラップから3周にわたってタイヤやブレーキに慎重に熱を入れていくと、計測3周目にアタックを開始。すべてのセクターで自己ベストタイムをマークすると1分47秒009をマークする。全車がアタックしていないが、この時点で計時モニターの2番手にSyntium LMcorsa GR Supra GTが表示される。ライバル勢がタイムを伸ばす可能性があるため、河野選手は翌周もアタックを継続。セクター1、2は前のラップよりもタイムを短縮するが、コースの後半になりタイヤのグリップ感が失われ、1分47秒179と惜しくもタイムアップはならなかった。だが、1分47秒009のタイムは、A組の5番手で予選Q2へ進出した。
GT500クラスの予選Q1を挟み、GT300クラスの予選Q2がスタートする。Syntium LMcorsa GR Supra GTには吉本選手が乗り込み、予選Q1と同様に3周をウォームアップに充てた。コースコンディションが向上したこともあり、吉本選手は全セクターで予選Q1のタイムを上回り1分46秒530をマークする。翌周もタイムの更新を狙ってアタックを続けたが、セクター3以降はタイムが伸びなかったためピットイン。
結果として予選Q2は12位となり、明日の決勝レースは12番グリッドからのスタートとなる。GR Supra GTの特性とは決して合っているといえないコースだが、それでも3戦ぶりに予選Q2へ進出を果たした。明日の決勝レースは、今季の締めくくりとなる快走を見せることがチームの目標だ。
決勝:15位
前日の予選で12番手を獲得したLMcorsaは、まず吉本大樹選手がSyntium LMcorsa GR Supra GTに乗り込み状況をチェック。5周を走行すると河野駿佑選手に乗り替え、さらに6周を周回して300kmの決勝レースに備えた。
ウォームアップ走行の後には決勝レースのスタート進行が始まり、GT500クラスの15台とGT300クラスの25台がグリッドに並んだ。40台のマシンは予定通りの13時にフォーメーションラップによって始動する。
スタートドライバーは吉本選手が担当し、12番手から上位を目指す。モビリティリゾートもてぎは低速コーナーと直線を繋ぐコースレイアウトで、加速力に勝るGT3が有利とされている。そのためスタート直後はGT3勢をいかに押さえ、食らいつけるかがポイントとなった。
吉本選手はオープニングラップで4号車のAMGをパスしたが、6号車のAudi R8 LMSに抜かれたためポジションは変わらない。3周目にはポジション争いが落ち着くが、コースの西側が雨雲で覆われ、小雨が降り始める。ウエットコンディションへと変わっていくか心配されたが、路面を濡らした程度で雨は止んだ。序盤は12番手をキープしつつ、7号車のBMW M4をテールトゥノーズで追う状況となる。GR Supra GTはコーナーリングスピードの高さが武器で、単独走行では速いラップタイムを刻める。しかし、特性の異なるGT3の後方だと長所が消されてしまい想定したラップタイムで走ることができない。もどかしい状況は10周を超えても続いた。7号車を1秒以内で追うが抜くことはできず、15周目にはオープニングラップでパスした4号車が迫ってきて抜かれてしまう。さらに17周目には56号車のGT-Rにパスされて14番手に後退すると、チームは19周目にピットインの指示を出した。
Syntium LMcorsa GR Supra GTはピットに戻ると4本のタイヤ交換と給油を行なう。ピットワークLMcorsaの長所でミスなく河野選手をコースへ送り出すと、抜きあぐねていた7号車の前方に出ていた。23番手から追い上げを図った河野選手は、ライバル勢のピットインのタイミングもあり、25周目に17番手、30周目には15番手、全車が義務付けられたピットインを終了した36周目には14番手に浮上する。ただ、周回を重ねていくとリアタイヤのグリップが唐突に落ちる症状が発生し、安定したラップタイムを刻めない。
レースは40周を超えて終盤に入ると、コースオフした車両を回収するために初めてFCY(フルコースイエロー)が提示される。車両の撤去はすぐに終わり42周目にリスタートするが、河野選手のラップタイムが再び落ち込んでしまう。46周目には押さえこんでいた11号車のGT-Rに抜かれると、このタイミングでまた小雨が降りはじめ、今度はコース全体を濡らしていく。
残り10周程度なので、ほとんどのマシンがスリックタイヤのままコースに留まる。河野選手はペースが落ちるものの最後まで周回を重ね、58周目に15位でチェッカーを受けた。
最終戦はポイント圏内が望める12番手からのスタートだったが、ポジションを上げることができず失意のレースとなってしまった。今季は昨シーズンの雪辱を果たすことが目標となっていたが、展開に恵まれないこともあり残念ながら8戦中3回のポイント獲得に終わった。