SGT Round8 MOTEGI GT 300km / Syntium LMcorsa GR Supra GT #60号車
SGT Round8 MOTEGI GT 300km / Syntium LMcorsa GR Supra GT #60号車
ドライバー
吉本 大樹 選手
河野 駿佑 選手
今回のレースについて
4月16日-17日に岡山国際サーキットで開幕したAUTOBACS SUPER GTの2022年シーズンが、11月5日-6日にモビリティリゾートもてぎで開催される第8戦で幕を閉じることになる。
今季も年間8戦のシリーズ戦でわれているSUPER GTは、4月の開幕戦のあとに富士スピードウェイ、鈴鹿サーキット、スポーツランSUGO、オートポリスの5箇所の国内サーキットをまわり、モビリティリゾートもてぎで最終戦を迎えることとなった。
GR Supra GTにマシンをスイッチし2年目となったLMcorsaは、昨年のシリーズ3位を上回る成績を収めるためにシーズンオフからジオメトリーの調整や空力パーツのアップデートなど懸命な作業を行なってきた。だが今季はBoP(性能調整)によってリストリクターのサイズが下げられ、最高出力が抑えられてしまった。
もともとライバル勢のGT3に対して加速性能は劣っているが、コーナリングスピードが速いというのがGR Supra GTの特徴だった。今季のBoPの調整は、加速性能がさらに抑制されてしまいレース中にGT3勢を抜くことが難しくなってしまった。
昨シーズンは8戦で49ポイントを獲得したが、今季は7戦で獲得したのが11ポイント。ライバル勢のパフォーマンスアップもあるが、苦戦している様子が獲得ポイントにも現われている。
公式練習
苦しい状況だが少しでも上位を目指すために、前戦のオートポリス戦から約1ヶ月のインターバルでマシンのセットアップなどを見直して最終戦に挑むこととなった。SUPER GT第8戦の「MOTEGI GT 300km RACE GRANDFINAL」は、11月5日(土)に公式練習と予選、6日(日)に決勝レースが実施される。
5日の走り始めは9時35分からスタートした公式練習で、まずSyntium LMcorsa GR Supra GTには吉本大樹選手が乗り込んだ。持ち込みのセットアップは悪くないようで、マシン調整は行なわずタイヤの比較テストを実施。
最終戦のために用意された2種類のタイヤを履き比べながら周回を重ねると、計測12周目に1分47秒348のベストタイムをマーク。
公式練習のスタートから約1時間が経過した10時30分になると吉本選手から河野駿佑選手にドライバーチェンジし、決勝レースを想定したテストなどを行なった。
河野選手は公式練習の最後に設けられていGT300クラスの専有走行枠で予選シミュレーションを実施すると、吉本選手のベストタイムとほぼ同等の1分47秒369を記録し、予選前の公式練習を締めくくった。
結果として吉本選手がマークした1分47秒348がベストタイムとなり、順位はGT300ラスの27台中17位となった
予選:19位
GT300クラスの予選はアタック中の混雑を避けるために、エントリーした27台を2組にわけて予選Q1が競われる。そして、各組の上位8台が予選Q2に進出し、ポールポジションが決定する。LMcorsaは13台が出走するB組に振り分けられ、予選Q2進出を目指した。
午前中の公式練習の開始時は気温が15℃に満たず秋らしい涼しさの中での走行となったが、昼になるにつれて日差しが強くなり予選Q1の開始時には気温こそ16℃だったが、路面温度は公式練習より8℃高い27℃となった。
Syntium LMcorsa GR Supra GTには吉本選手が乗り込みコースオープンとともにウォームアップを開始する。アウトラップと2周でタイヤやブレーキなどに熱を入れると、計測3周目にアタックをスタート。1周をミスなくまとめると、1分46秒984というタイムがモニターに表示される。
計測された時点ではトップ8に入っていたが、吉本選手は翌周もアタックを続けてわずかだが1分46秒902までタイムアップ。だがライバル勢はさらにタイムを伸ばしていて、B組の10番手で予選Q2への進出を逃した。
結果として決勝レースは19番手からのスタートとなった。公式練習の状況だと予選ほどのタイム差はないため、追い上げを図りポイント圏内を目指す。
決勝:11位
ウォームアップが終了すると決勝レースのスタート進行が始まり、GT500クラスの15台とGT300クラスの27台がスターティンググリッドに並ぶ。
19番手から追い上げを図ることとなったLMcorsaは、吉本選手をスタートドライバーに指名した。300kmの決勝レースは予定通りの13時にパレードラップがスタート。吉本選手は19番手でコントロールラインを通過すると、1、2コーナーから先行するマシンにプレッシャーをかけ、続く3、4コーナーでは2台をパスして17番手に浮上する。
しかし、その後のヘアピンで混戦から順位を落としてしまいオープニングラップを21番手で終える。吉本選手は先行するマシンをテールトゥノーズで追うが、パスするほどのスピードはなく順位を上げることができない。
7周目にはペースが鈍った61号車BRZを1コーナーでパスして20番手に浮上し、さらに上位を狙うが9周目にGT500とGT300のマシンの多重クラッシュが発生してコースはFCY(フルコースイエロー)となる。11周目になるとFCYからセーフティカーの先導走行となり、GT500とGT300のマシンの隊列が整えられた。
だがセーフティカーラン中の14周目にGT300のマシンが先行車に追突し、ホームストレート上に2台のパーツが散乱してしまう。コース整備や車両とパーツ回収のためにセーフティカーランは延長される。セーフティカーラン中に先行するマシンの数台がイレギュラーなピット戦略を採ったため、Syntium LMcorsa GR Supra GTは19周目に14番手まで順位を上げた。
20周目にレースはリスタートするとチームはこのタイミングで吉本選手にピットインの指示を出す。リスタート時にピット作業を行なうことはレースでの常套手段で、周回を続けるライバル勢とのギャップが拡がりづらい。
チームは敏速に4本のタイヤ交換と給油を行なうと、河野選手へドライバー交代しコースへ送り出す。LMcorsaのピットストップ時間はライバルチームより短く、同時にピットストップを実施したマシンを抜くこと成功した。
河野選手は20番手でレースに復帰すると25周目には自己ベストタイムとなる1分49秒324をマークし、27周目には19番手に浮上。上位陣はまだ規定されているピットストップを終えておらず、29周目に18番手、31周目に17番手、34周目に16番手と徐々にポジションを上げていく。GT300の全車が義務づけられているピット作業を終えた38周目には14番手となり、ポイント圏内の10位以内も現実的となる。
だが、GT3マシンより加速性能に劣るSyntium LMcorsa GR Supra GTは、コーナリングで先行したマシンとのギャップを詰めてもストレートで離されてしまう。ラップタイムもトップ10のマシンには届かず、終盤でも着実に順位を上げていったものの60周目に11位でチェッカーを受け、惜しくもトップ10フィニッシュを逃した。
昨シーズンはGR Supra GTにマシンをスイッチした初年度ながらシリーズランキング3位となり、今シーズンはさらに上を狙っていただけに8戦中入賞3回という2022年シーズンの結果はチームの誰しもが想定していなかった。来季に向けてスピードアップを図るためオフシーズンもチームは懸命な作業を続けていく。